騒音の少ない熱ポンプをデザイン
振動を最小限に。騒音を減らす。
「音がうるさい。ポンプの音のせいで眠れない。」これは、ポンプの製造や取付に関わる方、そして購入されたお客様の恐らく全員が経験することではないでしょうか。低周波で「ゴロゴロ」と唸る音を聴いているとイライラさせられるものです。騒音とその日常生活への影響についての意識がますます高まる今、それも当然のことです。
"A major portion of the sound that reaches our ears - be it a chord from a guitar, the squeal from brakes or a lively discussion at the neighbours - originates from or is transmitted through vibration solid structures."
Cremer, Heckl, Petersson "Structure Borne Sound - Structural Vibrations and Sound Radiation at Audio frequencies" - Third Edition, 2005.
騒音の少ないポンプ作りを支える、さまざまな防振コンセプト
防振の方法としては、熱ポンプそのものを外側からデカップリングするか、内部部品(コンプレッサー)を隔離するか、またその両方を行うというものがあります。 外部デカップリングでは構造からの騒音を振動が建物構造に伝わらないようにして防ぐのに対し、コンプレッサーの内部デカップリングは騒音の中でも一次空気伝播音に効果を発揮することができます。
騒音の原因であるコンプレッサー
コンプレッサーは、例外なく、熱ポンプの中心部分にあります。「騒音の少ないポンプモード」はよく宣伝されており、また高く評価されています。その高評価は、騒音の中でも一次空気伝播音について与えられたものです。多くのケースでは、このような「サイレントモード」にはインバーターコンプレッサー技術が使用されています。このため、コンプレッサーのモーター速度は実際のニーズに合わせて制限されるため、熱ポンプを最大活用するうえで非常に効率的な方法といえるでしょう。しかし、皮肉にも、モーター速度を落とすことによってコンプレッサーの励起周波数も変更および低減されるため、避けるべき低周波の「ゴロゴロ」騒音がさらに増える結果になってしまうのです。
騒音の少ない熱ポンプを造るための5つのヒント
- エンジニアリングサポートを受け、そのサポート内容を製品開発プロセスのできるだけ早期段階で取り入れる
- 振動騒音の主な原因のできるだけ近くにアプローチする(例:コンプレッサーの隔離)
- 動的使用でも剛性を持たず弾性を持つ防振器を選ぶ
- 固有周波数の低い防振器を選び、部分的な特定負荷がある場合にコンプレッサーを効率的にデカップリングできるようにする
- 一貫した性能を長期的に維持できる防振器を選ぶ言い換えれば、軟化剤を含む素材を避けることです。
騒音の少ない熱ポンプにGetznerのソリューションを選ぶべき理由
キーワード:脱炭素
脱炭素は、現在熱心に議論されている話題です。世界の多くの政府が、効率的な加熱方法を促進するための熱ポンプの設置を推奨しています。この動きにより、熱ポンプが普及し、私たちは問題分野に直面することになるでしょう。私たち全員が一緒に問題を解決するのです。数々の研究によると、騒音および騒音減少は今後ますます重要になっていくことが分かっています。
つまり、私たちは熱ポンプから発生する騒音源により注意を向ける必要があります。製品デザインと設置の考慮事項について、一次空気伝播音だけでなく固体伝搬音も注視しなければなりません。従って、固体伝搬音の発生と伝播の抑制が重要な役割を果たします。要は、語るべきは防振なのです。
防振についてさらに知る
物理的な視点から考えると、弾性のある素材やマウント型機器を使用することで、振動システムを作り上げることになります。これは単一の質量振動モデルを用いて記述され、共振または固有振動数を有します。システムの特徴的な固有振動数はデカップリングされた質量mと弾性マウントの動的剛性cから導かれます。
そして、外部刺激によって振動システムが励起され、振動が開始されます。このモデルでは、これを起振力としています。1つの質量発振器において防振効果を評価する際、外部刺激の励起周波数(fe)と振動システムの固有周波数(f0)の周波数比を考慮する必要があります。
防振効果が得られるのはfe/f0の周波数範囲がルート2以上の場合のみです。
fe/f0の共振範囲がルート2を下回る場合、機械振動の増幅は、緩衝装置とは無関係にすべてのケースで発生します。
PURこそが最高の選択
ポリウレタン(PUR)素材は、高パフォーマンスの弾性防振部品の素材として業界水準となっています。従来のゴム素材に比べ、PURは可塑剤を含まないため、弾性特性を何十年にもわたって一貫して保つことができます。防振性能にさらに重要になるのは動的剛性です。動的剛性とは、特定負荷の元で発生する素材反応です。ポリウレタン素材を用いた機械ベアリングでは、動的剛性を従来のゴムと比較して格段に抑えることができます。この柔軟性により固有振動数を低減することができ、また防振効果も高まります。
ポイント
- 装置の励起周波数を把握し、最も適した防振ソリューションを知る
- 目的に合わせた特性を持つ素材(例:ポリウレタン(PUR))を使用することで、計算が容易になる
- PURは動的使用下で柔らかくなるため、より優れた防振効果につながる
振動を最小限に、騒音を低減。騒音の少ない熱ポンプの実現。
騒音の少ない熱ポンプはこのようにして作られる
「熱ポンプそのものを外側からデカップリングするか、内部のコンプレッサーを隔離するか。より良いのは後者です。Getznerのポリウレタン素材は希望通りの非常に優れた防振効果をもたらしてくれます。」
弊社のホワイトペーパー『Make your heat pump quieter. Why it is important to focus more on the copressor vibrations and the transfer of structure-borne noise.(熱ポンプの騒音を抑えるには?コンプレッサーの振動と固体伝播音により注意することが大切なのか?)』には、熱ポンプベアリングに関する価値の高い情報と測定結果が含まれています。